身だしなみの裁判、勝訴!

 大阪市営地下鉄(当時)の運転士2人がひげをそらなかったことを理由に不当に低い人事評価を受けたとして、市に慰謝料など計約450万円の賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、大阪高裁(江口とし子裁判長)は9月6日、「ルール違反にはならない」と判断し、運転士らの人事評価を最低にした大阪市の控訴を棄却して、市へ40万円余りの賠償を命じた。
 市は2012年、服務規律を強化する職員基本条例を策定。市交通局(当時)も、ひげをそるよう求める内規を設けた。従わなかった2人は13、14年度の人事査定で低評価を受け、16年3月に提訴した。
 大阪地裁判決(今年1月)は、判決理由で内藤裁判長は、ひげについて「個人的自由に属し、着脱不能で、服務規律で制限すれば私生活に影響が出る」とし、運転士に対し形状を問わず一律に禁じることは規律の合理的限度を超えると判示した。その上で今回のケースでは、低い考課や、上司が面談で「守らなければ処分対象とする」と指導した点は、内規の趣旨を逸脱し違法と認めた。
 一方「(整えられたひげを含め)伸ばさずきれいにそること」と定めた内規については「ひげは社会で広く肯定的に受け入れられているとまでいえないのが現状」と合理性を認め「命令ではなく任意協力を求める趣旨」とし、適法と判断した。ひげを理由に減点評価したのは「裁量権の逸脱で違法」と指摘。ひげに関して「服装や髪形と同様、自己の外観をいかに表現するかという個人的事由に属する」と言及していた。

 

2019年09月07日